2025/05/26
むし歯は放っておくと・・・
新緑の美しい季節となりました。
この時期は、学校での歯科健診のシーズンですね。
歯科健診は学校保健安全法に基づいて6月30日までに行われます。
結果が返るまでには、まだしばらく時間がありそうですが、今日はむし歯の進行についての話をしたいと思います。
むし歯の進行度はC0、C1、C2、C3、C4の5段階に分類されます。
C0:歯の溝や歯の表面が茶色や黒、白色に変色していて、まだ欠けたり穴が開いたりしていない状態の歯を指します。むし歯になりかけの歯、と表現されることもあります。
C1:軽度のむし歯の状態です。歯の表面や溝など、限られた狭い範囲が、灰白色や黄褐色、黒褐色に変化します。歯の表面(エナメル質)に穴があいた状態です。侵食がエナメル質の範囲にとどまっているため、通常、痛みやしみる感じはありません。削る部分は最小限のため、痛みも、治療にかかる時間も少なく済みます。
C2:むし歯が歯の内部に広がり、象牙質に達した状態です。甘いものや冷たいものを食べたときに痛むことがありますが、この段階で気づけば、まだ、比較的早く治療が完了します。むし歯の部分を削って取り除き、その部分に詰め物やかぶせ物をし、保護します。
C3:むし歯が歯髄(神経)まで進んでいる状態です。むし歯の穴は大きくなり、強い痛みが出ます。この段階までくると、歯冠部はほとんどむし歯に侵食されているため、むし歯を取り除いた後、歯形を取ってかぶせ物を製作し、歯にかぶせる治療になるため、治療の期間が長くかかります。
C4:歯冠部(歯肉から上の見える部分)がほとんどなくなり、歯の根っこだけが残った状態(残根状態)です。歯の神経(歯髄)が死んでいると、痛みは感じませんが、炎症はさらにあごの骨に進行することもあります。歯の根っこの先に膿が溜まり、膿を取り除くため、歯の根っこの治療が必要になります。その後、歯型を取ってかぶせ物の製作を行い、かぶせなければいけないため、治療の期間がとても長くなります。状態によっては、抜歯を選択せざるを得なくなります。
一度むし歯になってしまった歯は、もとの健康な歯に戻ることはありません。しかし、むし歯を早い段階で発見し、すぐに治療を行えば、歯を長持ちさせることが可能です。むし歯も他の病気と同様、早期発見が大切です。
患者様の中には歯科医院がとても苦手で、「異変には気づいていたけど、怖くてすぐに治療に来られなかった。」とおっしゃる方がいらっしゃいます。お気持ちはとてもよくわかるのですが、放置することで、苦手な治療を、より長期にわたり受けていただくことになるので、こちらも心苦しく思います。
むし歯以外についても同様です。歯並びやかみ合わせ、歯ぐきの炎症などについても、放置することによって、重症化することがありますので、軽度の段階で適切な治療をできるよう、異変に気づいたら、かかりつけの歯科医に相談することをお勧めします。
また、早期発見のため、歯科医院での定期健診をお勧めします!